簡裁代理権とは、簡易裁判所が取り扱う範囲における民事訴訟事務の権限です。そのベースラインは、訴訟目的となる対象の価額140万円以下となります。法務大臣の認定を受けた認定司法書士は、司法書士法に基づき、簡裁訴訟代理等関係業務を行うことが可能です。
簡易訴訟代理等関係業務とは、具体的に以下のものを指します。
簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等について、代理業務を行うことができます。
訴え提起前の和解手続の流れ
「支払督促」は、貸したり立て替えたりしたお金や家賃、賃金などを相手方が支払わない場合に、申立人側の申立てのみに基づいて、簡易裁判所の書記官が相手方に支払いを命じる略式の手続です。紛争の対象となっている金額にかかわりなく、下記のような金銭の支払いを求める場合に利用できます。
<支払督促の対象の例>
以下のような金銭に関する未払い、未返還などが、支払督促手続の対象になります。
貸金、立替金 / 売買代金 / 給料、報酬 / 請負代金、修理代金 / 家賃、地代 / 敷金、保証金
支払督促は、次のような特徴があります。
申立人にとっては、支払督促の手続は、詳細な証拠集めが不要で支払督促申立書に必要事項を記入して簡易裁判所に提出すれば済むなど、民事訴訟や少額訴訟、民事調停に比べて簡単に行うことができます。
一方、相手方は、支払督促に納得できない場合は異議申立てをすることができます。
このような特徴から支払督促は、督促の対象となる金銭の額や支払時期、契約の有無などについて、申立人と相手方に相違がない場合に向く手続です。例えば申立人は「これこれのお金を何月何日までに支払われる約束だったが、まだ支払われていない」とし、相手方は「確かにそのとおりで、まだ払っていない」というような場合です。ですので、相手方が反論する可能性が高い場合は、民事訴訟や民事調停など、支払督促以外の手続を検討することが考えられます。
また、支払督促は書類を郵送して行われるため、相手方の住所が判明している必要があります。相手方の住所が分からない場合は、支払督促の手続をとることはできません。
支払督促手続は、次のような流れで行われます。
申立人:支払督促申立書に必要事項を記入して、相手方の住所地の簡易裁判所に提出する
支払督促の申立ては、申立書に必要事項を記入し、手数料と相手方に書類を送るための郵便切手などを添えて、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に直接または郵送で提出します。申立人が法人の場合は、「登記事項証明書(1通)」が必要となります。
証拠保全が必要なケース
証拠保全をする必要があるのは、何らかの理由で証拠を集められないときです。
例えば、過労死の訴訟の場合は本人が死亡しており証拠を集めにくいので、企業に残っているタイムカード等をコピーするために証拠保全が必要になることもあります。
証拠保全の根拠となるのは民事訴訟法234条です。
調停は,裁判のように勝ち負けを決めるのではなく,話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る手続です。
調停手続では,一般市民から選ばれた 調停委員 が,裁判官とともに,紛争の解決に当たっています。
原則として,相手方の住所のある地区の裁判を受け持つ簡易裁判所に申し立てます。
ただし,事件の種類によっては例外もあります。
簡易訴訟代理等関係業務の分かりやすい例といえば、訴額140万円以下の過払い金請求訴訟でしょう。
貸金業法の改正にともない、グレーゾーン金利で取り立てられた利息の返還を求める訴訟が各地で起きていますが、返還請求額が140万円以下の場合、認定司法書士による訴訟事務代理が可能。
反対にそれを超える案件の代理は非弁行為とみなされ、法律により罰せられます。
認定司法書士のみ、簡裁訴訟代理権の行使が認められます。
当事務所は、認定司法書士事務所です。